This is official site of Black Water Dive® produced by photographer Ryo Minemizu. Black Water Dive® is a kind of night diving. We are setting up underwater lights of high-color rendering on the sea bottom of night that while considering tides, times, places. The creature which appears is mainly juveniles and larvae. All is fascinating, and it's not to be seen at daytime or regular night diving. It will be your first experience. This site will introduce the state of the event and the creatures seen and also future of BWD schedules. *"BWD"stands for Black Water Dive®.*Black Water Dive® is a registered trademark of Ryo Minemizu.

2015年9月21日月曜日

2015 BWD Vol.4 久米島に向けて ダイブエスティバンでの事前調査 Vol.2-5 ヤセトビイカ Ornithoteuthis volatilis (Sasaki, 1915)

非常に細身のスルイメイカ型をしたヤセトビイカ Ornithoteuthis volatilis (Sasaki, 1915)が現れました。全長45cmほど。本種としてはまだ小さいサイズです(成体は外套長25~30cm)


逃げるスピードはとても速く、撮影時は常にダッシュです。
常に流線型を保っているせいか、なかなか鰭を広げてくれません。

ヤセトビイカ Ornithoteuthis volatilis (Sasaki, 1915)
上からのカットで唯一鰭を広げたカットが撮影できました。鰭はとても幅広で大きい。


ヤセトビイカ Ornithoteuthis volatilis (Sasaki, 1915)
生時、泳いでいる際に第Ⅲ腕で白色の帯状模様を表すことがあります。

ヤセトビイカ Ornithoteuthis volatilis (Sasaki, 1915)
眼の腹面に発光器が埋もれています

ヤセトビイカ Ornithoteuthis volatilis (Sasaki, 1915)
触腕は幅広で長く、掌部のこんもりした部分に大きな吸盤列がのぞいています。掌部の先端には4列の小さな吸盤が並んでいます。

参考文献:
新編 世界イカ類図鑑 ウェブ版 - 全国いか加工業協同組合 p,194.

P. Jereb & C.F.E. Roper, 2010. Cephalopods of the world. An annotated and illustrated catalogue of cephalopod species known to date. Volume 2. Myopsid and Oegopsid Squids. FAO Species Catalogue for Fishery Purposes. No. 4, Vol. 2. Rome, FAO. 605p


2015 BWD Vol.4 久米島に向けて ダイブエスティバンでの事前調査 Vol.2-4 ヨロイホタルイカ Abralia (Abralia) armata (Quoy & Gaimard, 1832)

久米島で見られたホタルイカモドキ類のうち、もう1種はヨロイホタルイカ Abralia (Abraliaarmata (Quoy & Gaimard, 1832)と思われる。

確認できた個体数は1個体のみ。
ヨロイホタルイカ Abralia (Abraliaarmata (Quoy & Gaimard, 1832)

オビスジホタルイカに比べ小型で、全長でも60㎜ほどであった。また、見た目の色彩は色素を濃くする際に赤みが強くなった。

ヨロイホタルイカ Abralia (Abraliaarmata (Quoy & Gaimard, 1832)

本個体の眼球発光器は5個で、両端のがやや大きかった。また、外套腹面の発光器は色と大きさが異なる3種類で、不規則に並んでいる。

ヨロイホタルイカ Abralia (Abraliaarmata (Quoy & Gaimard, 1832)

触腕掌部に6 個の鉤が1 列に並ぶ。

2015 BWD Vol.4 久米島に向けて ダイブエスティバンでの事前調査 Vol.2-3 オビスジホタルイカ Abralia (Abralia) steindachneri Weindl, 1912


生態写真の記録は今回の久米島事前調査が初と思われる。オビスジホタルイカ Abralia (Abralia) steindachneri Weindl, 1912


久米島でのBWD中に見られたイカ類の中では優占種で、個体数は一晩で20-30個体ほど。大きさは外套長50-60mmほど(全長は90-100mmほど)。外套腹面に、同定に役立つ発光器列が4列ある。太平洋での主な分布は東シナ海とされている。

オビスジホタルイカ Abralia (Abralia) steindachneri Weindl, 1912
腹側の発光器は青色に輝いている


オビスジホタルイカ Abralia (Abralia) steindachneri Weindl, 1912
外套腹面に4列の発光器列が並ぶ


オビスジホタルイカ Abralia (Abralia) steindachneri Weindl, 1912

眼球発光器は両端に大型不透明の発光器があり、その間に3 個の小発光器がならび、その間にさらに1~3個の小型の発光器がある


オビスジホタルイカ Abralia (Abralia) steindachneri Weindl, 1912

触腕掌部に7-8個の大きな鉤がある


オビスジホタルイカ Abralia (Abralia) steindachneri Weindl, 1912

腕に沿って並ぶ発光器には、規則的に大発光器が分け入る


2015 BWD Vol.4 久米島に向けて ダイブエスティバンでの事前調査 Vol.2-2 ニザダイ科稚魚とテングハギ幼魚

ニザダイ科稚魚

体は透き通っていて全長30㎜程。
個体数はかなり多く表れていて至る所にいる。一晩(4時間)ほどで50~70個体ほどだろうか。もちろん正確な数ではない)

テングハギ幼魚
こちらは1個体のみ出現。すでに大きくて全長60㎜ほどであった。黒褐色の黒い斑紋などの模様から、テングハギ Naso unicornis の幼魚かと思われる。

2015 BWD Vol.4 久米島に向けて ダイブエスティバンでの事前調査 Vol.2-1 テンジクダイ科の1種稚魚


テンジクダイ科の1種稚魚

久米島事前調査二日目に1個体見ただけ。水深6m。全長20㎜程。

本種は見た目からもテンジクダイ科の1種であることがわかる。

体は半透明の薄橙色。全体的に黒色色素が散在してるが、側線より下方ほど大きく顕著。中でも眼の下方には斜め後方に向かう帯状に濃い分布がある。

また、背鰭や体側上方に白色の斑点がまばらにある。

胸鰭は比較的長く、黄色に黒褐色の細かい斑点模様がある。

第1背鰭と腹鰭には黄緑色に赤褐色の混じったようなまだら模様がうすく現れていて、第2背鰭と臀鰭ではそれがさらにうっすらとあるもののほぼ透明に近い。

撮影した複数の画像を見ながら画像上で計測した形質は、下記の通り。

背鰭D Ⅶ-Ⅰ, 10; 臀鰭A Ⅱ, 9; 胸鰭P1(?13±); 腹鰭P2(?Ⅰ, 5or6); 尾鰭C ?27; 側線有孔鱗数LLp25;

※?がつくものは複数の画像上で迷うこともあり正確ではないという意味。(鰓耙数=さいはすう)GRなどは計測不可能

このうち比較的信頼できる形質データD,A,LLpに、日本産既知種から当てはまったものは唯一オニイシモチ属オニイシモチであった。

但し、標本も調べていないし、画像上での判断であるため、ここではテンジクダイ科の1種としておく。

2015年9月16日水曜日

2015 BWD Vol.4 久米島に向けて ダイブエスティバンでの事前調査

来る10/14-17に開催する2015 Black Water Dive Vol.4 久米島 DIVE ESTIVANTに向けて、段取りの確認や事前調査のために久米島に訪れています。
昨夜は、ボートポイントでの初調査を行いました。

全長50cmほど(頭長1cm)、カクレウオ科稚魚ベクシリファー期
BWDでは定番のトリクチスやレプトケパルスは複数種
カクレウオ科のベクシリファーやテニュイス期もわんさか現れました。


昨夜のポイントでは唯一のクダリボウズギス属 Gymnapogon稚魚
昨夜のポイントでは、テンジクダイ系クダリボズギス属はなぜか成体ばかりでした。
唯一の稚魚として現れたのは、これまでに出なかった色彩パターンのものでした。


ダルマガレイ科稚魚
そのほかにもニザダイ科のケリヌスやツノダシのアクロヌルスなどのほかハゼやダルマガレイなどいろいろ出ていますが、豊富すぎて目移りしてしまいます。



アミダコ Ocythoe tuberculata の幼体と思われる
極めつけは1本目終盤に発見したサルパにつくタコの幼体です。おそらく生態的な観点からはアミダコの子供と思われます。



発光器や触腕の特徴などから、オビスジホタルイカ Abralia steindachneri Weindl, 1914

その他、遠目で確認できませんでしたが、トビイカの群れがでていたり、ホタルイカモドキ類はおそらく複数種が混在して現れました。

久米島は夜もポテンシャルが高いです。今夜も引き続き調査に行ってきます。

2015年9月3日木曜日

企画から18年の集大成 日本クラゲ大図鑑 発売決定


18年にわたって撮影を続けてまいりました浮遊生物。その第1弾の集大成といたしまして、このたび『日本クラゲ大図鑑』の刊行が決まりましたので、この場をお借りしてご案内させていただきます。



アマゾンでもすでに予約可能となっております。

日本クラゲ大図鑑 

峯水亮・久保田信・平野弥生・ドゥーグル・リンズィー
A4変型判、360p(カラー248p
刊行予定日:2015927
本体価格:6,800円(税別)

発行所:平凡社


  鉢虫綱のページサンプルです

  ヒドロ虫綱のページサンプルです


  有櫛動物門無触手綱のページサンプルです

  軟体動物門節足綱のページサンプルです


 世間でのクラゲのイメージは、海水浴場での邪魔者、大量発生の被害など、ネガティブなものが先行していました。しかし、一方で、水族館の水槽の前でクラゲを眺める人も多く、クラゲにはなぜか人を引き寄せる魅力があることがわかります。それはクラゲ独特のリズムや、自由で優雅に見えるその姿や泳ぎ方にあるのかもしれません。私はこの生き物をもっとたくさんの方に知ってもらいたいと思い、本としてまとめようと思いました。

 私が撮影をスタートしたのは1997年の事です。しかし、たくさんのクラゲに出会うのは簡単ではありませんでした。収録種数の目標を立て、いざ撮影に向かっても、クラゲは多くの魚のようにいつもそこにいるわけではありません。また、海に入ったからといって、いつ出会えるかもわかりません。ひたすら海に入る回数を増やし、出会う確率を上げる方法しかありませんでした。
 
 また、○○クラゲを撮ろうと思って、その生息情報を誰かに尋ねようにも、○○クラゲとは何かというところからはじまるのが普通でした。最初は情報収集でさえ順調ではありませんでした。
 しかし、国内の水族館に所属するクラゲ好きの飼育員の方々からの情報も得ることで、撮影は徐々に進みはじめました。情報提供してくださった方々、国内外の取材で協力してくださった多くの方々に感謝しております。

 季節を問わず、日本国中の沿岸を旅し、ときには雪をかき分けて海に入ったり、車で寝泊まりしながら丸一日プランクトンネットを引いたり、試行錯誤の連続でした。北は北海道から南は沖縄まで、日本全国の海岸線を旅しながら、撮影を続けてまいりました。


 本書には日本のクラゲだけでなく、海外のクラゲもトピックスで紹介しています。アメリカ西海岸のモントレー湾では3か月間アパートを借りながら、毎日海に潜って撮影に挑みました。また、東南アジアではフィリピン・タイ・インドネシア・パプアニューギニア・マレーシア・オーストラリアなどの海に何度も通いながら撮影を行いました。


写真はご覧のとおり一枚一枚レイアウトを組んでおり、クラゲのいろいろな写真を見ていただけますし、ページをめくりながら写真を眺めるだけでもお楽しみいただけると思います。

本書はこの時代に発売される書籍としては珍しく、A4変形サイズの豪華な上装本となっております。全360p(カラー248p 本全体では、クラゲを中心とした約400種の浮遊生物が掲載されています。


巻末には、日本を代表するクラゲの研究者である先生方によって、最新の分類体系に基づいた詳細な解説がありますので、本格的にクラゲを調べたい時、図書館資料としての価値も十分にございます。下記は主に執筆をしてくださった先生方です。

久保田信 (京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所准教授)
平野弥生 (千葉県立中央博物館分館・海の博物館共同研究員)
ドゥーグル・リンズィー (海洋研究開発機構 主任技術研究員)


また、部分的な種の解説他、収録されている多くのコラムは下記の方々にもご担当いただいております。(敬称略:50音順)

池口新一郎 (のとじま臨海公園水族館)
石浜佐栄子 (神奈川県立生命の星・地球博物館)
奥泉和也 (鶴岡市立加茂水族館)
奥谷喬司 (東京水産大学名誉教授)
武田正倫 (国立科学博物館名誉研究員)
永井宏史 (東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科)
西川 淳 (東海大学海洋学部海洋生物学科)
平野義明 (理学博士)
藤倉克則 (国立研究開発法人海洋研究開発機構)
堀田拓史 (東海大学海洋学部海洋生物学科)
水谷精一 (環境水族館アクアマリンふくしま)

本書のColumn & Topics

水槽からの新発見
海藻の森にすむクラゲ
ミズクラゲの生活史
モントレー湾水族館研究所の深海生物研究
深海研究
エチゼンクラゲ大発生
クラゲを食べる生き物
クラゲと褐虫藻
クラゲの楽園──ジェリーフィッシュレイク
クラゲの毒
クラゲ注意報
困難な幼クラゲの同定
不老不死のベニクラゲ
さまざまなヒドロ虫
スギウラヤクチクラゲの分裂増殖
ポリプから得られたクラゲ
盗刺胞をするクラゲ
サルパの形態
ゼラチン質の「家」に住むオタマボヤ類
巻貝浮遊幼生の遠距離旅行
パララーバ──浮遊するイカ・タコ
紛らわしい名前──クラゲダコ・クラゲイカ
クラゲとともに見られる生き物
プランクトンの世界
クラゲの食べもの
クラゲの発光
世界のクラゲ・ギャラリー
世界一のクラゲ水族館
クラゲを使ったハギ漁
有明海のクラゲ漁
クラゲと食文化
海外のクラゲ食文化

是非一人でも多くの方々に、この本を手に取ってみていただけることを切に願っております。是非、お手元にこの1冊をよろしくお願いいたします。