This is official site of Black Water Dive® produced by photographer Ryo Minemizu. Black Water Dive® is a kind of night diving. We are setting up underwater lights of high-color rendering on the sea bottom of night that while considering tides, times, places. The creature which appears is mainly juveniles and larvae. All is fascinating, and it's not to be seen at daytime or regular night diving. It will be your first experience. This site will introduce the state of the event and the creatures seen and also future of BWD schedules. *"BWD"stands for Black Water Dive®.*Black Water Dive® is a registered trademark of Ryo Minemizu.
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2016年4月19日火曜日

Report of DayDream RYOMA-1 Midnight Dive & Black Water Dive® Collaboration Cruise


パラオの稚魚たち


4/9-17の日程で行っておりましたパラオ。DayDream RYOMA-1 Midnight Dive & Black Water Dive® Collaboration Cruiseの結果報告です。

今回のRGBlueには、マンフロットの新型ミニ三脚 PIXI-EVOを中心に取り付けています。安定性抜群。

リーフ棲の魚類を中心にご紹介いたします。
ウナギ目のレプトセファルス期は今回も数多く表れ、複数種が見られました。
ウナギ目のレプトセファルス期
ウナギ目のレプトセファルス期 TL:90mm
カクレウオ類のベクシリファー期・テニュイス期ともに、こちらも数多く出現しました。
カクレウオのベクシリファー期
カクレウオのベクシリファー期 TL:40mm
胸鰭をヒラヒラと羽ばたきながら泳ぐハダカハオコゼの稚魚。リーフの上にいるときはじっとしているのに、遊泳期は比較的泳ぎが達者です。
ハダカハオコゼの稚魚
ハダカハオコゼの稚魚 TL:50mm
背鰭の第2棘と腹鰭の棘条が大きく伸長する、ハタ亜科稚魚。個体数は多い
ハタ亜科稚魚
ハタ亜科稚魚 TL:20mm
日によって数多かったセミホウボウの稚魚
セミホウボウのケファラカンサス期稚魚
セミホウボウのケファラカンサス期稚魚 TL:45mm
昨夜あたりに一度着底したのかもしれません。すでに模様が現れています。
ヨスジフエダイ稚魚
ヨスジフエダイ稚魚 TL:25mm
コチ科の稚魚も複数みられる。その一つ
コチ科の稚魚
コチ科の稚魚 TL::23mm
比較的多かったハナダイ亜科の1種
ハナダイ亜科の稚魚
ハナダイ亜科の稚魚 TL:25mm

赤い斑点が均等に配置されるのが特徴。着底するとかなり地味に
フサカサゴ科の稚魚
フサカサゴ科の稚魚 TL:25mm
この時期のキンチャクダイ科稚魚はほとんど本種でした。
キンチャクダイ科の稚魚
キンチャクダイ科の稚魚 TL:30mm
トリクチス期稚魚の中では比較的わかりやすい。
ヤリカタギ稚魚
ヤリカタギ稚魚 TL:17mm
フグ科稚魚はなかなか種の区別が難しい。
フグ科稚魚
フグ科稚魚 TL:10mm
ハコフグ科コンゴウフグ属。成魚はなぜかパラオでは数少ないようですが、その割に稚魚は頻繁に見かけます。
コンゴウフグ属稚魚
コンゴウフグ属稚魚 TL10mm
キヘリモンガラ稚魚
キヘリモンガラ稚魚 TL:32mm
吻部や鰓蓋部、後頭骨部などが棘状に張り出すイットウダイ科の稚魚の特徴
アカマツカサ属のリンキクチス期
アカマツカサ属のリンキクチス期 TL:20mm

出現種はまだまだいるのですが、続きは折を見てご紹介することにします。また、今回、坂上治郎さんの研究対象でもある深海性魚類も出現しましたが、ここでの掲載は差し控えておこうと思います(またの機会にでも)

パラオの頭足類たち

パラオの夜の海では様々な頭足類(Cephalopoda)も数多くみられます。

ホタルイカモドキ科では、フィリピンホタルイカ AbraliaAbraliaspaercki Grimpe, 1931の他、オビスジホタルイカ AbraliaAbraliasteindachneri Weindl, 1912なども上げられます。オビスジホタルイカの既知の分布域(東シナ海からインドネシア,インド洋,紅海からオーストラリア西岸の熱帯域)にパラオは含まれていませんが、おそらく、これよりもさらに広範囲に分布しているものと思われます。
フィリピンホタルイカ Abralia (Abralia) spaercki
フィリピンホタルイカ AbraliaAbraliaspaercki Grimpe, 1931 ML:40mm

アカイカ科では、トビイカ Sthenoteuthis oualaniensis (Lesson, 1830)の他、Sthenoteuthisの隠ぺい種が1-2種ほど、ヤセトビイカ Ornithoteuthis volatilis (Sasaki, 1915)などが代表的です。
トビイカ Sthenoteuthis oualaniensis
トビイカ Sthenoteuthis oualaniensis (Lesson, 1830) ML:25cm

ヤセトビイカ Ornithoteuthis volatilis
ヤセトビイカ Ornithoteuthis volatilis (Sasaki, 1915) ML:15cm
トビイカには複数の隠ぺい種が含まれていることが、奥谷先生らによって指摘されています。本種はおそらくその一つになると思われます。
Sthenoteuthis sp.1 Sthenoteuthis属の隠ぺい種 ML:18cm


タコ類の幼生も各種数多くみられますが、これらの種の特定は困難を極めます。
マダコ科 幼生 不明種
今回、おそらく世界で3例目となるムラサキダコ Tremoctopus gracilis (Eydoux & Souleyet, 1852) の貴重なオスの生態撮影ができました。ムラサキダコは腕に膜を持つ外洋遊泳性のユニークなタコです。そのオスはメスに比べて非常に小さく、これまではプランクトンネットによる調査サンプルなどで捕獲されてきたにすぎません。メルボルン大学のDavid Paul氏によってGreat Barrier Reef, Australiaで世界初の生態撮影がなされ、2002年にNorman博士らによって報告されたのが最初です。その際には、クラゲなどの刺胞動物の触手を持っていることが報告されていましたが、その後、本種が選択的にカツオノエボシの触手などを保持していることがTree of Life Web Projectなどでも改めて報告されています。このクラゲ触手の利用方法については、これまで防御または攻撃のためと考えられてきていますが、実際にこれらの生態を解明していくのが、現場にいる我々カメラマンの今後の仕事になるかと思います。
ムラサキダコ Tremoctopus gracilis
ムラサキダコ Tremoctopus gracilis (Eydoux & Souleyet, 1852) ,male, ML:15mm
ムラサキダコ Tremoctopus gracilis
腕の吸盤上にカツオノエボシのものと思われる触手を付着させている


REFERENCES


沖山 宗雄 (編集)(2014). 日本産稚魚図鑑

奥谷 喬司, (2015). 新編 世界イカ類図鑑

P. Jereb & C.F.E. Roper, (2010). Cephalopods of the world. An annotated and illustrated catalogue of cephalopod species known to date. Volume 2. Myopsid and Oegopsid Squids. FAO Species Catalogue for Fishery Purposes. No. 4, Vol. 2. Rome, FAO. 605p

Norman MD, Paul D, Finn J & Tregenza T (2002). First encounter with a live male blanket octopus: the world's most sexually size-dimorphic large animals. New Zealand Journal of Marine and Freshwater Research, Vol 36.

Tremoctopus - Tree of Life Web Project